免疫細胞治療学講座で実施している治療:NY-ESO-1長鎖ペプチドワクチン治療免疫細胞治療学講座で実施している治療:NY-ESO-1長鎖ペプチドワクチン治療

1.長鎖ペプチドワクチン(long peptide vaccine)

抗原蛋白

蛋白を用いた癌ワクチンには、種々の利点がありますが、大腸菌や酵母などによるGMPグレードの組換え蛋白の作製には膨大な費用がかかり、また技術的にも容易ではありません。
また、エンドサイトーシスで取り込まれた蛋白の大部分は、MHCクラスII経路で処理されCD4T細胞に抗原提示されます。一方、ペプチドは化学合成が可能であり、バクテリアやウイルス成分の混入がなく、化学的に安定で、安全性に関しても問題が無いことから、薬剤の開発が容易です。
腫瘍抗原蛋白由来のアミノ酸配列のうちMHCクラスI分子に結合し、最も効率良くCTLに認識されるコア部分のアミノ酸配列のみを合成して利用するのがCD8CTLの短鎖エピトープペプチドワクチンです(図B)。
20-45アミノ酸からなる長鎖ペプチドを作成し(図C)、両端の5-15アミノ酸程度を移動させながらN-末端からC-末端へと抗原蛋白の全長を補うように合成し、それらのペプチドのプールを用いて免疫する方法が長鎖複合ペプチドワクチンです(図D)。
長鎖複合ペプチドワクチンは、抗原蛋白ワクチンの特性を保ち、優れた免疫学的な特性を持つことから、これからのワクチン開発の主流を担うものであると考えられています。私たちは、
川崎医療福祉大学/岡山大学の中山先生と、大阪大学の和田先生とともに、長鎖ペプチドワクチン治療の開発にいち早く取り組んできました。