先進医療Bについてのご案内先進医療Bについてのご案内

先進医療Bについてのご案内

クリックいただくと、本ページをPDFとしてダウンロードすることができます。
⇒ 患者さん試験説明資料

患者さんへ

東京大学医学部附属病院呼吸器外科では、肺がんの治療としてγδ(ガンマデルタ)
細胞治療という新しい治療法の有効性と安全性を調べるための臨床試験を、第3項先進医療技術(先進医療B)として実施しています。

γδ(ガンマデルタ)T細胞治療とは

・γδT細胞とは
γδT 細胞は、がんや感染症などから、からだを守る役割を担うリンパ球の一種です。
γδT 細胞は、がん細胞の表面に存在するがんの“目印”を感知して、がん細胞を攻撃
する能力を持っています。γδT細胞発生このγδT 細胞の力を活用して、がんの治療に役立てようとするものが、γδT 細胞治療です。抗がん剤や放射線治療とは異なる作用機序によって、がん細胞を破壊することで、病気の進行を遅らせる効果が期待されています。

・γδT細胞治療の特徴
γδT細胞は、血液中に通常1〜2%しか存在していないため、γδT細胞治療を実施するためにはγδT細胞を増やす必要があります。γδT細胞治療は、患者さんから採血をしてリンパ球を集め、2週間かけて培養することによって大量に増やしたγδT細胞を点滴する治療法です。

治療の対象となる方

【肺がんγδ】お問合せシート
↑治療に関して、詳しくは主治医の先生にこちらのお問合せシートをお渡しいただき、ご相談ください。

 

この治療は、非小細胞肺がんの患者さんで下記のいずれかにあてはまる方を対象としています。
①手術による治療の後にがんが再発して、抗がん剤などの治療を受けた患者さん
②手術による治療が難しく、放射線療法や抗がん剤等の治療を受けた患者さん

治療の対象となる方この治療は臨床試験として実施しているため、上記に当てはまる方でも治療を受けられない場合があります。治療を開始する前に、治療に必要なγδT細胞が増えるかどうかの培養検査など、試験の参加に必要な検査を行います。あらかじめ決められている判定基準にもとづいて、治療を受けていただくかどうかが判断されます。

治療の方法

治療の方法γδT細胞治療は2週ごとに合計6回の投与をおこないます。静脈内に点滴で30分かけて投与します。
6回分の投与に必要な細胞は、治療開始前に成分採血で採取します。採取した細胞は、凍結して保存し、治療にもちいます。

治療の流れ

治療の流れ

費用

通常の外来受診や血液検査、CT撮影等の診療に必要な費用に加えて、

γδT細胞治療の費用   1回につき約220,000円
(6回の治療で合計1,320,000円程度)

が、先進医療技術料として必要になります。

※民間のがん保険や医療保険の”先進医療特約”などによる保障が適用になる場合があります。
詳しくはご加入中の保険会社へお問い合わせください。

第3項先進医療【先進医療B】

先進医療技術名:「ゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫療法」

治療を希望される場合

治療について詳しく聞きたい方この治療を受けていただくためには、現在受診している主治医の先生のご協力(医療連携)が不可欠です。この治療を希望される方は、主治医の先生とよくご相談ください。

【ご連絡・お問い合わせ】(主治医の先生からご連絡をお願いいたします。)

東京大学医学部附属病院 呼吸器外科 γδT細胞治療 事務局
FAX:03-5805-3164 / TEL:03-5805-3161
メールアドレス:haigangdt-office@umin.org

γδT細胞の実際

・末梢血の採取
末梢血7.5mlを採血して末梢血単核細胞(PBMC)を分離し、スモールスケールの事前培養テストを行い、治療に用いるための自己γδT細胞培養の可否を判定します。

治療開始前に、アフェレーシス(成分採血)を行います。

末梢血の採取

・γδT細胞の培養
ゾレドロン酸は、コレステロール代謝の中心に位置するメバロン酸経路のFPP合成酵素を阻害し、細胞内に中間代謝産物である Isopentenyl Pyrophophate(IPP)を蓄積させます。末梢血中に存在するγδT細胞は、その受容体を用いてIPPを認識します。PBMCにIL-2とゾレドロン酸を加えて培養すると、単球内に蓄積したIPPに反応したγδT細胞を選択的に刺激活性化し増殖させることが可能です。14日間の培養で1~10×10の9乗個のγδT細胞を得ることができます。

γδT細胞の培養

・γδT細胞の投与
品質検査後に得られた活性化自己γδT細胞を1時間程度の時間をかけて点滴投与します。正常細胞と異なり、がん細胞内にはIPPが蓄積しており、がん細胞を認識したγδT細胞は、直接的な細胞傷害活性に加えて、IFN-γなどのサイトカインを産生し、抗腫瘍効果を発揮します。

これまでの自己γδT細胞治療の成績

自己γδ細胞治療は、化学療法・放射線療法とは異なる作用機序により、抗腫瘍効果を期待できる新しい療法であり、有効な治療方法のない既存の化学療法に抵抗性の非小細胞肺癌患者に対する治療効果が期待できます。その安全性と有効性を評価し、自己γδT細胞治療の臨床応用を検討するため、当院において2006年より肺がんを対象として第Ⅰ相臨床試験UMIN試験ID:C000000336)を実施しました。
がん患者20名中15名の患者の末梢血から安定的にγδT細胞の増殖が可能であり治療を実施しました。その結果、15例が登録され、安全性と有効性の評価を行った結果、治療に関連する重篤な有害事象は認めませんでした。

副次的な評価の治療効果として6例でSD(安定)が得られ、無増悪生存期間中央値は126日(範囲:34-285日)、全生存期間中央値は589日(範囲:202-1505日)と、一定の有効性が示唆される結果を得ました。

免疫学的モニタリングにおいては、γδT細胞を投与した結果、患者の末梢血中のγδT細胞の割合の上昇(上段)、特にエフェクターメモリーγδT細胞の上昇(下段)が認められました。

治療早期に肺がんの退縮を認めた症例
症例 66歳、男性
左上葉原発性肺がん(LCNEC)、脳転移

前治療歴
①シスプラチン+エトポシド
②TS-1
脳転移に対する開頭手術、全脳照射

 

 

 

 

治療前CT(A)で認められた左肺門部のリンパ節と一塊となる原発巣や縦隔のリンパ節転移は、
1回目治療後のCTで著明に縮小している(B)。2回目治療後のCTではさらに腫瘍の縮小傾向が
認められた(C)。

参考文献

  • ・Nakajima J, Murakawa T, Fukami T, Goto S, Kaneko T, Yoshida Y, Takamoto S, Kakimi K. A phase I study of adoptive immunotherapy for recurrent non-small-cell lung cancer patients with autologous gammadelta T cells. Eur J Cardiothorac Surg. 2010 May;37(5):1191-7.
  • ・Sakamoto M, Nakajima J, Murakawa T, Fukami T, Yoshida Y, Murayama T, Takamoto S, Matsushita H, Kakimi K. Adoptive immunotherapy for advanced non-small cell lung cancer using zoledronate-expanded γδTcells: a phase I clinical study. J Immunother. 2011 Mar;34(2):202-11
  • ・Kakimi K, Matsushita H, Murakawa T, Nakajima J. γδ T cell therapy for the treatment of non-small cell lung cancer. Transl Lung Cancer Res. 2014 Feb;3(1):23-33.